●切手収集
 70年代の終わり頃に、切手ブームが起こりました。たいしたお金もなく、そもそも近所に切手を買えるお店なんかない所に住んでいた私たちは、なんとか効率よく切手を集めようと考えて、その頃漫画雑誌に広告を出していた「東京切手センター」という所が運営するクラブに入りました。

 このクラブに入会すると、毎月切手が数枚入ったシートが数シート送られてきます。その中から気に入ったシートを買い、残りは送り返すというシステムでした。中身の切手は外国のモノ(それがウリでもあったんですが)で、高価な切手なんかは間違っても入ってません。でも切手自体の価値より、キレイかそうでないかで選んでましたから、別に問題ありませんでした。専用のピンセットやらアルバムやらヒンジやらの色々な道具も欲しかったのですが、そんなお金はありません。ピンセットだけは何とか買ったものの、毎回切手シートに同封されてくるカタログをため息をつきつつ眺めてました。

 集めた切手はストックブックに入れておくんですが、図書館で借りた切手の本によると、「分類してアルバムを作るともっと楽しい」と言うことだったので、是非アルバムを作りたいと思っていましたが、アルバムを作るには切手をヒンジで貼りつけなくてはならず、せっかくの未使用切手がなんだかもったいないような気がしてとうとう一度も作らずじまいでした。

 「見返り美人」とか「月に雁」とかは当然あこがれでしたが、買えるようなシロモノじゃありません。なにせ小学生。使える金額そのものがごくわずかですから、日曜日毎に自転車で隣町の切手屋に行き、日本の未使用切手を1枚とか2枚とかほそぼそ買ったりしてました。私は中でも戦時中の飛行機が描かれているモノを結構買いました。それらの非常に渋い色合いがなんとなく好きでした。

 が、やっぱり大した量は買えません。というワケで、必然的にコレクションの中身は使用済切手が多くなっていきました。ウチに来た郵便物から取ってもいいのですが、それでは現行の物に限られてしまいますし、第一効率が悪すぎる。で、友だちと3人くらいで秋葉原にある切手屋さんに買いに行きました。そこには封筒やはがきから切手の部分だけを切り抜いたものが、大きなビニール袋に一杯詰まっていて300円とかで売ってましたから、一度に大量の切手を手に入れることができます。水に浸けて切手を剥離させる手間はありますけど、あんまり面倒だとも思いませんでした。

 当時集めた切手は今もそのままストックブックに残っています。世界最小(もらった当時)の切手だとか、トンガのココナッツ型シール切手(コレは逓信総合博物館で買った)だとか。シール切手といえば最近の「ドラえもん」切手とか「手塚」切手とかもシールですね。これって安っぽいからぜひやめて欲しいと思います・・・。大体切手に見えないし(笑)。
【おわり】