●学研の学習と科学
 お馴染みですね。懐かし物には欠かせない話題です。大体どこでも「科学は楽しかったけど学習は・・・」っていう話になったりするんですが、幸いというかなんというか私は両方とってもらってて、どちらも大変好きでした。

 「科学」が好きなヒトが多いのはもう当然で、あの子供心をくすぐる付録の数々には誰も抵抗できないと思います。巻末の次回付録欄に光学モノや電気モノの予告が載ってたりした日には、さっき今月号が届いたばっかりなのにもう指折り数えモードに入ってたヒトも多いでしょう(笑)。「まだかなまだかなー」というあの歌は、当時の心境からすると何の誇張もなかったです。でもそんな風に非常に楽しかった記憶ははっきりしてるのに、ちゃんと覚えてる付録内容はほんの少しで、子供の記憶なんていい加減なもんだなあとか思いますが、今だって結構いい加減なので人間そんなもんなんでしょう。

 特にうれしかった付録は2つあって、その1つは「探偵セット」です。化学薬品の性質を学習するための教材で、指紋採取粉(よく考えたら化学と関係ないんじゃ・・・)とか血液に反応する薬品なんかがセットになってました。でも血痕を発見しようにもそんなもの家にはなくて(普通ないってば)、指をちょっと切って血をだそうかどうか思案してしまった一品です(笑)。

 もう1つは鉱石見本セット。紫水晶や鉄鉱石など10種類程の鉱石見本が入ってて見てるだけで楽しかったです。当時なんとなく鉄鉱石を磁石の上に置いてほったらかしにしてたら磁化されてしまい、「ははあ鉄なんだなあ」とか妙に納得しました。その事を書いて「子供の科学」の読者コーナーに送ったら採用されて、特製バッジもらったのも懐かしい思い出です。

 で、「学習」の付録にも「石膏で作る立体地図」とか「歴史勉強カード」とかいろいろあったんですが、遊びの要素っていうのは少なくて、正直言ってあまり魅力がなかったです。だから「学習はつまんなかった」とか言われちゃうんでしょう。でも「学習」の本領発揮は、夏休み時期についてきた別冊の小説集だったと勝手に思ってます。本誌よりも分厚い別冊で、書き下ろしだったのかどうか定かではないですがたくさんの読んだことのない話が載ってて、文字通りむさぼるように読んだものです。当時家の近くにはまだ図書館がなかったので、いろんな話をまとめて読める絶好の機会でした。中でもストーリーの細かい部分は完全に忘れてるんですが強烈に印象だけ残ってる話があります。

「校庭の花壇の花を次々にちょん切って悪戯してた男の子の前に変な男が現れて追い掛け回すが、そのうち変な男の首がポロリと落ちる。その変な男は実は・・・」

 というまんが日本昔話の大岩魚の話みたいな怪異譚で、挿絵の荒々しい版画(だったと思う)と相まって大変不気味でした。例によってその本がなくなってからふと思い出し、誰の作なのかずっと気にかかってるんですがわかりません。この話覚えてるヒトがいたらぜひ教えてください。キーポイントは「校庭の花を切る男子」「変な男が現れる」「変な男の首が取れる」「男の子に非難の声を浴びせて泣きながら駆け去っていく」です。

 ・・・ってひょっとしたら記憶と全然違う話かもしれないんですが(おい)・・・。いや記憶ってあいまいですから。
【おわり】