第15回 盆踊り
 ウチの地域の盆踊りは、7月の下旬に行われていました。夏休みが始まった事を、一番最初に実感できる行事だった事を覚えています。

 当日の夜は特別に小遣いを貰い、祭囃子を待ちかねて友達を誘い、露店のクジ屋に直行です(笑)。踊りなんて眼中にありません。色とりどりの景品に目が眩み、どうせハズレと頭じゃあ分かっているクジを引きました。で、当然ハズレ(笑)。手元には雑誌のフロクらしきまんがの小冊子(「まんきんたん」とかいうタイトルのわかのわからないマンガだったことをやけにハッキリと覚えてます)とか、やっぱり何かのフロクらしきペーパークラフトなんかが残されました。

 クジは結構高いのでそう何回もできません。次には食欲を満たすべく、ソースせんべいの屋台に移動。粗末な手製らしきパチンコ台で枚数を決められます。まあ、あんまり多いと気持ち悪くなりそうな気もしますが。次にあんず飴。私はあんずが嫌いだったので、あんず飴といいながら中身がみかんのやつを買ってました。これもスロットマシンみたいなクジで本数を決められましたが、当たっているのを見たことはない様な・・・。

 あとは買った食べ物を片手に、カタヌキをやったり友達とふらふらしたりしてました。実はこの「ふらふらしてる」のが一番楽しかった気もします。「夏に子供でいる事は一つの特権なのだ」とかいう台詞をどこかで聞いた事がありますが、そんな感じで何ともいえない充足感がありました。なにせ夏はこれから。やりたい事は頭の中から零れるほどある。長い長い休みも今始まったばかりなのです。

 さて、最近十数年ぶりに盆踊り会場に出向いてみましたら、当時の感覚が一気に蘇ってきて、やっぱりいいもんだなあとか思ってしまいました。ま、窓の外からかすかに聞こえる祭囃子の情緒ってのも結構好きなんですが。んで肝心の屋台ですが、暴力団追放運動の一環なんでしょう、ほとんどが自治会なんかの運営になってしまっていて、なんだか違和感が拭えませんでした。どうも雰囲気やテンポがダルいのです。いくつか会場を回り、やっとソレっぽい屋台が出ているところを見つけて一安心。やっぱりああいうものには一種の「いかがわしさ」が必要だよなーとか地域の人には怒られそうな無責任な事を思ってしまった夜でした(笑)。
【おわり】