●電子ブロック
 1970年代に学研が出していた科学玩具です。1つ1つの電子部品が半透明のブロックに内蔵されており、並ベ方によって色々な回路を組んで遊ぶことができます。 メカモやムービット同様、欲しかったけど値段の高さ故あきらめざるを得なかったものですが、近所の小さなオモチャ屋が店じまいする際の投げ売りで購入することができました(なんてラッキーなんだ)。てなわけで、120回路の実験ができるラジカセ型の電子ブロック、EX-120です。

EX-120。色褪せた外箱が経た年月を感じさせます。
 この機種は120の実験が可能ですが、後でブロックを買い足して、実験できる回路数を増やすこともできます(最大180)。解説書は全機種共通。30回路のセットを買った人でも、上位機種用の回路を見ることができるワケで、なかなか有効な撒き餌です。

 大時代なラジカセみたいなフォルムは、今となってはナンセンスですが、当時はものすごくカッコイイものとして写りました。なにしろ特別な道具も知識も必要なく、説明書に従ってブロックを配置するだけでいろんな回路が組めるのです。電子工作を初めたばかりで、なかなかうまくいかない半田付けに手を焼いていた当時の私としては、それだけで何か素晴らしいモノの様に思えました。ワット数の高過ぎる鏝(家にはそれしかなかった)を当てすぎてトランジスタを壊しちゃったり、パターンを剥離させちゃったりする心配もないんですから。・・・しかし今思うと我ながらヒドい半田付けをしてた気がするなあ・・・。

 とはいえこれは諸刃の剣。説明書には「ブロックの並ベ方」は書いてありますが、「個々の部品の働き」や「その回路がどうして動くのか」についてはほとんど触れていません。EX-180のシンセサイザーユニットなんかはもう完全にブラックボックス。電子ブロックは、科学をなんとなく身近に感じるには適していると思います。が、電気回路をゼロから学ぶつもりであれば、親切すぎて逆に役者不足というか、あまり適していないだろうなという感じです。本などである程度知識を得た後であれば、その知識を簡単に実践して確認できるっていうのは、非常に有意義なんでしょうけど。ちょっと方向は違うけど、ブルーバックス読むのと似たような感じかなあ。「わかったようなつもり」になってしまうっていう・・・(そりゃあんただってば)。遊ぶのに電気知識を必要としない様にとの配慮だったのかもしれませんが、それ故組み立るだけで満足してしまった人も多かった様です。これはこれで非常に残念なこと。

 それにしても限られた部品数でこれだけの回路を用意した開発陣は、さぞかしタイヘンな思いをしたことでしょうねえ。「脳味噌絞って」ってのを地で行きそう(笑)。
【おわり】