●ムービット

ムービットのパッケージ(写真はサッカーロボットのもの)
 1980年代初めごろに売られていた、リモコンロボットの組み立てキットです。元々はNHK出版協会から出ている『アクリルロボットの工作』『アクリルモーターカーの工作』という本に載っていたロボット達を、当時嘉穂無線がキット化したものです。部品を切り出す手間が省けるのはよかったんですが、その家内制手工業的キット内容のおかげで価格が高すぎて、当時はとてもじゃないけど買えませんでした(泣)。

ちなみに上記の本には、キット化されなかったロボット(クモ型ロボットなんかは出色の出来)もたくさん載っていて、見てるだけでも楽しいのですが、残念な事に現在、このロボットたちを組み立てる事はできません。なぜかと言いますと、このロボットたちに使われているギアボックスはイマイのものがメインなんですが、そんなのは80年代半ば辺りからはとんと見かけなくなってましたし、現在はもちろん絶版になってて手に入りません(泣)。タミヤのギアボックスを使っているロボットもあるんですが、こちらも現在は絶版か仕様変更されていて、どっちにしても使えません。こういう「素材っぽい工作モノ」って以前はいっぱい出てましたけど売れなくなっちゃったんでしょうか。というわけで、どうしても作りたい場合は、現行のギアボックスを買ってきて、それを基に自力で再設計するしかありません。

 前置きはこのくらいにして(長いって)、今回東京の科学教材社で発掘したキットの話ですが、ボディが透明アクリル板の組み合わせでできていて、内部の機構が透けて見えてキレイです。あの頃アクリルのボディは未来的に見えたものですが今ではレトロフューチャーっぽいです。当時のラインナップは、サッカーロボット(青、橙)、ハングリーモンスター(青、黄)、ライントレーサー(青)の3種類と、コントロールボックス。サッカーロボットが1980円、後の2つは3980円と、当時にしては非常に高価でした。しかもコントロールボックスは別売になっててこれがまた1980円もするので、更に高嶺の花になってしまいます。


当時の広告より
◆サッカーロボット

 六本足の昆虫みたいなフォルムで、本の中では「スーパーインセクト」という名前で載ってます。前足を蹴り上げるように前に進むのを利用して、紙製のボールを蹴り転がして遊びます(でも1台しかないからサッカーゲームはできない・・・)。

 ちなみにこのロボットは現在でもエレキットのラインナップに入ってますが、素材が透明アクリルじゃなくなってる上に変な長靴はいてるようなだめだめなデザインになってて超ぶかっこうでかっこわるいです。でも進歩してるところもあって、ちゃんと工業製品化されてて作り易そうなのは評価できるので一応買っておきました(おい)。やっぱりだめだめなデザインのコントロールボックス(笑)もついてるので買ってきたその日から遊べます。

◆ハングリーモンスター

 前部についた2本の触手で、転がっているビー玉をかき込むようにして、ボディ内部に取り込みます。ビー玉食べてる様子がはらぺこっぽかったのでついた名前だそうです。ハの字型に配置された走行用モーターは、軸が直接接地していて、この回転により前後左右回転といった動作を行います。タイヤ等がついていないため、基本的にはスリップしつつ走るので、フワフワした動き方をします(ホバークラフトっぽい)。触手を動かすとけっこう騒々しいです。走行用モーターは2つともオシャカになってました(なにしろ古いモノだし)が、交換したところ元気に動き出しました。

 ロボットをコントロールするためのリモコンは2チャンネル+1。+1の押しボタンスイッチは、ハングリーモンスターの触手を動かす時に使うものです。ロボットとの接続はコネクター式。ワンタッチで着脱できるので、1つのコントロールボックスを使い回すことが可能です。スライドスイッチがついていて、スピードが2段階に切り替えられるようになっています。

 キットだから簡単に組み立てられるだろうと思ってたんですが、微調整が結構難しくて(特にサッカーロボットのギアシャフト周りが微妙)、当時だったらうまく作れたかどうか疑問です。でもやっぱりこういう工作は楽しいなあとつくづく思ったので、他のロボットたちもなんとか作ってみたいですね。学研のメカモなんかも作ってみたいので、以前からあちこち目を光らせてるんですけど見つかりません。こっちはきっと手に入らないでしょう(見つけたとしてもプレミアがすごそう・・・)。
【おわり】